氏神神社が無人でお札が手に入らない時の7つの対処法
神社というと、境内に社務所があって、神職の方や巫女さんが駐在していて、お札やお守りを授与していたり、御朱印をいただいたり、といったイメージがあるかもしれませんが、それは大きな神社に限った話。
ほとんどの神社は神職不在であり、社務所を構えていない神社も数多くあります。多くの場合、地元の氏神神社は無人なのです。
ですから、
という悩みはとても多く聞かれます。
今回は、このような『氏神神社が無人でお札が手に入らない』というケースにおいて、どのように対処したら良いのか?7つの具体策をご紹介します。
最後までお読みいただければ、“氏神神社のお札がない問題”をスッキリ解決できるでしょう。
目次
まず簡単に氏神神社(うじがみじんじゃ)の定義を確認しよう
まず最初に、「氏神神社とは何か?」という定義づけを簡単に行いたいと思います。
もともとは、氏神神社という名称から分かるように、「氏(うじ)」の神様を祀っているのが氏神神社です。血縁的につながりのある一族の守護神・先祖神を祀っているということ。有名どころでいえば、藤原氏の氏神神社は春日大社となります。
その血縁的なつながりのある集団を氏子(うじこ)といいます。ですので、本来であれば、藤原氏と関係のない人が春日神社にお参りするのはおかしなことだと分かります。
一方で、土着の神様を「産土神(うぶすながみ)」といい、その集団を「産子(うぶこ)」といいます。地縁的な関係(住んでいる地域)の神様を祀っているのが産土神社です。
いつしか
「氏神」と「産土神」
「氏子」と「産子」
が混同して用いられるようになり、現在は「土地の神様=氏神」「土地に住む人=氏子」と認識されるようになっています。
ですので、以降、
・氏神神社=産土神社
・氏神=産土神
・氏子=産子
という定義づけのもとに解説を進めていきたいと思います。
※最近は、産土・産子という言葉があまり使われなくなり、神社関係者でも「産土って何??」となってしまう人も多いのでご注意ください。
産土神社についての詳しい解説は次の記事が参考になるでしょう。産土神の奥深い話を掘り下げています。
氏神神社のお札が手に入らない時の7つの対処法
氏神神社について確認したところで、次に、氏神神社のお札が手に入らないときの対処法について詳しく解説していきます。
①神社庁のHPに書かれている連絡先へ問い合わせする
一般的に、各都道府県の神社庁のHPには、各神社の管理者の連絡先(電話番号等)が記載されています。
『都道府県名 神社庁』とインターネット検索すれば、お住まいの地域の神社庁のHPを確認することができます。筆者は大阪府在中なので、大阪府神社庁です。
大阪府神社庁
https://www.osaka-jinjacho.jp/
そこから該当する氏神神社を探し、連絡先をチェックし、「氏神神社のお札を手に入れる方法」についてお問い合わせする流れとなります。
連絡先は、氏神神社直接の電話番号のこともあれば、近隣地域をまとめて管理している神社のこともあります。一例↓
また、宮司さん宅のこともあったり、中には、氏子管理というケースもあります。
いづれにせよ、一度お問い合わせしてみましょう。
②氏神神社以外の近隣の神社のお札を祀る(相談する)
氏神神社が無人かつ、そもそもお札を発行していない場合、その近隣にある神社にてお札を手に入れる方法もあります。最寄りの産土神社ではなく、“近隣のお札を発行している神社”を産土神社として祀る形になります。
その際は神職の方に、
「最寄りの氏神神社である●●神社のお札が手に入らないので、こちらの神社のお札を祀りたいと思っています。こちらの神社のお札を氏神神社のお札としてお祀りしても良いでしょうか?」
といったことを確認すると良いでしょう。
実際に、ある地域に神社A~神社Eがあって
・神社A(お札発行)
・神社B(無人/お札未発行)
・神社C(無人/お札未発行)
・神社D(無人/お札未発行)
・神社E(無人/お札未発行)
のような場合、神社Aを氏神神社として祀っているケースもよくあるようです。
※ただ、このケースでは神社Aの宮司さんが、神社BCDEを管理しているというパターンが基本のようです。そのため神職の方に確認してみましょう。
③町内会の人に聞いてみる
町内会は氏神様と深いつながりを持っていて、神社が行う例大祭などの行事日程も把握しているものです。
ですので、町内会の人に確認すると確実かもしれません。同じ地区の住民が、どのように“氏神神社のお札が手に入らない問題”をクリアしているのか、生の声が聞けますから。
ちなみに、町内会によっては『その神社の奉賛会に入って、奉賛会費を払っている方にのみお札を配布している』というケースも見られました。
④一の宮の神社のお札をお祀りする
各地域には『その土地を守っている神様=氏神(産土神)』がいらっしゃいます。
その近隣地域の土地の神様たちを、一つに取りまとめているのが一の宮です。
ですので、迷ったときは一の宮の神社のお札を、産土神社のお札としてお祀りしても良いでしょう。お札授与の際に、
「最寄りの氏神神社である●●神社のお札が手に入らないので、一の宮であるこちらの神社のお札を祀りたいと思っています。こちらの神社のお札を氏神神社のお札としてお祀りしても良いでしょうか?」
といったことを確認したら、より安心してお祀りできるでしょう。
一の宮の神社はこちらで確認できます↓
全国の一の宮一覧
http://ichinomiya-junpai.jp/alllist/
⑤期間限定での発行なら、そのときまで待つ
基本的には無人だけど、お正月にのみ期間限定でお札の授与を行っているようなケースもよくあります。その期間を逃すと手に入りません。
このような場合は、待つより仕方ありませんから、お札の授与が行われる時期まで待ちましょう。神棚における氏神神社のお札のポジションは空けておきます。
⑥氏神神社のお札がない場合は、お札を祀る必要はない
という考え方もあります。
一番大切なことは、神棚にお札を祀ることではありません。「いつもお住まいの地域を守ってくれている神様への感謝の氣持ち」です。たとえお札がなかったとしても、日々、産土神に感謝の心を向けて遥拝したり、定期的に氏神神社へお参りするという形でお祀りすれば十分でしょう。
神様は、私たち人間の心をお見通しです。感謝の氣持ちを持っていれば、分かっていただけるはずです。お札がないからといって、バチが当たるなんてことはありません。
そう考えると、「氏神神社のお札が手に入らないなら、氏神神社のお札は祀らない」というやり方もアリでしょう。
⑦手書きで自作する
氏神神社のお札が手に入らないなら、「自分で墨をすって、筆で手書きで自作すると良い」という声もちらほら見られました。
例えば次の記事が参考になります。
手作りのお札作り
http://kamidanaya.net/2010/12/28/post_254.html
一部、作り方の部分を抜粋します。
厚紙や木を使って頂いても構いません。字が美しければそれが一番良いのですが(笑)自信がなくとも大丈夫。あなたが心を込めて作る、あなたがお祀りさせて頂く神札です。多少のことは神様も多目に見て下さるに違いありません。
和紙や紙のみでは薄すぎて強度に欠けます。なので、一番お薦めしている方法は”短歌用”の厚めの短冊をハサミで寸法に合わせて(約24cm×約7cm)そこに切り目が汚くならないように後ろより紙を巻くか、端にそって紙を貼りつける。または、字に自信のない方は薄い和紙でも構わないので「○○大神」「××神社」と納得いくまで墨で書かせて頂き、再度それを薄めの板に貼り付ける。・・・・・・これだと何度失敗しても一番出来が良かった文字をお札に出来ます。
ご自身が納得できる形で、氏神神社をお祀りしましょう
以上、『氏神神社が無人でお札が手に入らない』というケースにおいて、どのように対処したら良いのか7つの具体策をご紹介しました。
①神社庁のHPに書かれている連絡先へ問い合わせする
②氏神神社以外の近隣の神社のお札を祀る(相談する)
③町内会の人に聞いてみる
④一の宮の神社のお札をお祀りする
⑤期間限定での発行なら、そのときまで待つ
⑥氏神神社のお札がない場合は、お札を祀る必要はない
⑦手書きで自作する
まずは、①②③あたりの対処法を実践するのが基本でしょうか。
氏神神社の管理者の連絡先が記載してあるなら、まずはお問い合わせしてみる。近隣の神職さん駐在の神社で聞いてみる。町内会の中で、氏神神社について詳しい人に聞いてみる。
おそらく、この方法でおおよそ検討がつくのではないかと思います。近隣の神社関係者や住民の声を聞くのが確実ですし、生の声を聞けるので安心でしょう。
場合によっては、「⑥お札を祀らない」「⑦自作する」という対処法もアリかと思います。絶対にこうしろというルールはありませんので、最終的にはご自身が納得できる形で、氏神神社をお祀りしていただけたら幸いです。
氏神神社のお札にこだわるなかれ?
以下の記事で書いたように、神棚の祀り方に絶対はありません。
もともと、日本では古来より自然信仰が行われていました。山、川、森、木、水、海、岩など、あらゆるものに霊性や神性が宿ると考えられていました。これをアミニズムといいます。
特に、
・山・・・神奈備(かんなび)
・巨岩・・・磐座(いわくら)
・巨木・・・神籬(ひもろぎ)
などの自然物を神の降臨地とし、お祀りをしてきたのです。
信仰の対象や祀り方は、当然のことながら土地によって大きく異なります。(それらを総称して「古神道」と呼んだりします)
そのような歴史のある神道ですから、人それぞれのお祀りの仕方があって良いのです。神道には、他国の一神教の宗教には見られない「ゆるさ」「自由さ」があるんですね。
神道は「教」ではなく「道」です。
「こうしなさい」という強制的な絶対的な教えはありません。
ですので、もし「氏神神社のお札が手に入らない!何とかして手に入れないと!」と思っているのなら、そこまで深く悩まれる必要はないと考えています。
一番大切なのは「感謝の心」ですから(^^)
ご参考になれば幸いです。
神棚周りについては、次の記事で徹底解説しています。ぜひ参考にしてくださいね。
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