<神棚封じの手引き>意味や手順、期間や解き方などを解説!
自宅に神棚があるご家庭で家族に不幸があったとき、神様を守るために神棚を封印する必要があります。これを「神棚封じ」といいます。
神棚封じは人生で何回も行うことではないため、「神棚封じって何?」という人がほとんどです。
そこでこの記事では神棚封じについて
・どんな意味があるのか?なぜ神棚を封印するのか
・期間はいつからいつまでなのか
・どんな手順で具体的に何をするのか
・誰がするのか?タブーはあるのか
・期間終了後の解き方について
・神棚封じ中は仏壇はどうするのか
・神棚封じ中とお正月がかぶった場合はどうするのか
などなど、神棚封じの基礎知識ややり方について詳しく解説していきます。
目次
神棚封じとは?どんな意味がある?
神棚封じとは、その名の通り「神棚を封印すること」です。
家族に不幸があった場合に、自宅にある神棚の正面に半紙(白い和紙)を貼り、その期間中はお供えやお参り、そのほか神棚のお世話をしないことになっています。
神棚封じの意味とは?
神道では、古来より「死=穢れ」とされており、神様は穢れによって力を失ってしまうと考えられてきました。
死の穢れで神様が力を失わないようにするために、神棚封じを行い、神様をお守りするという意味があります。
穢れの深い意味~死の穢れは「気枯れ」です!
ちなみに、穢れというと「汚いもの」「不浄なもの」といったイメージを持たれやすいですが、ここでいう穢れは「気枯れ」であり「気が枯れている状態」のことを指します。
「氣」には、エネルギー、パワー、元氣、活力、生命力といった意味があります。
人間は辛いことや悲しいことがあると、活力や氣力が失われます。
元氣な状態ではいられません。
特に、大切な家族が亡くなったら、深い悲しみで氣が沈み、何もする氣がなくなってしまうでしょう。
このように、活力・氣力・元氣などの内面的な氣が枯れている状態を「気枯れ=穢れ」として、その状態が神様に及ばないように神棚封じを行うという考え方です。
決して「死は汚いものだから」という考えで、神棚封じを行うわけではありません。
棚封じを行うタイミング~期間はいつからいつまで?
神棚封じを行うタイミングは、故人が亡くなってすぐです。そして、忌明けするまで(概ね50日間)が神棚封じを行う期間となります。
「喪中」ではなく「忌中(きちゅう)」であることに注意しましょう。
忌中は神式の場合は50日間、仏教では49日間とされています。
神棚封じは神様のことですから、神道の考え方を採用して「50日間」とするのが一般的です。封印を解くのは50日目になります。
「忌中」はなぜ50日?
明治時代に「服忌令(ぶっきりょう)」が定められ、喪に服す期間が決められていました。
神式の場合は、
・父母であれば「50日間を忌引き、13か月間を喪中」
・嫡子であれば「20日間を忌引き、90日間を喪中」
とするなど。
現代では服忌令はありませんが、もっとも期間の長い「50日」にのっとって、この期間を「忌中」とする場合が多いようです。
神棚封じの手順と具体的なやり方3ステップ
1. 神棚の神様に挨拶と報告をする
神棚封じを始める前に、神様にご挨拶をします。
お参りではないので二礼二拍手一礼ではなく、軽くお辞儀をするくらいの簡単なもので大丈夫です。
そして、神様へ「家族の中で誰が亡くなったのか」と「神棚封じをする旨」を伝えます。神様が「誰が亡くなったのか」を知ることで、神様が故人を神の世界へ案内できるようになると考えられています。
2. 神棚のお供え物や榊を下げる
神棚にあるお供え物や榊を取り下げましょう。
神棚封じの期間中は新たにお供え物をしたり、お参りをすることは一切行いません。
「神様に対して失礼になるのでは?」と不安に思うかもしれませんが、神棚封じの目的は、穢れから神棚を守ることです。むしろ、ヘタに触って、神棚に穢れがつく方が縁起が悪いのです。
50日間が経過するまでは、お供えやお参りを控えるのはもちろん、神棚の整理や掃除をするのも禁止となります。
3. 神棚の扉を閉めて半紙を貼る
神棚の扉を閉めてから、中央に半紙(白い和紙)を貼ります。
書道で使う半紙や、白い和紙、場合によってはコピー用紙で代用しても構いません。
白い紙を神棚に貼るだけですので、封印のやり方はとても簡単です。
神棚の大きさによっては全体をカバーすることはできませんが、特に問題はありません。半紙を神棚の中心に貼ることを強く意識しましょう。
しめ縄がある場合は、しめ縄の上から半紙を貼ります。
例えば、次のようなイメージとなります。
神棚封じは誰が行う?タブーはあるのか?
神棚封じをする目的が「神様へ穢れが及ばないようにするため」だと考えると、故人と関係性の深い家族ではなく、他人が行うのが理想的ではあります。親しい親戚や友人などに行ってもらうのがいいでしょう。
とはいえ、親戚や友人が神道や神棚に馴染みのない人であった場合、神棚封じをお願いするのも氣が引けるのではないでしょうか。
そんなときは「葬儀社の人」にお願いすると良いですね。自宅に訪ねてくる機会があれば、そのときに神棚封じを行ってもらいましょう。
もし、神棚封じを頼める人が誰もいないという場合、家族の誰かが神棚封じをしてしまっても構いません。
神棚封じの解き方
神棚封じの期間は「50日間」とお伝えしました。一般的に、五十日祭という行事を終えたら、神棚封じを解いて良いとされています。
50日が経過したら神棚に貼っていた半紙を剥がし、神棚を元の状態へ戻しましょう。
長らく触っていませんから、ホコリが溜まっているかもしれません。まずは簡単にでも掃除をすることをオススメします。掃除が終わったら、榊を飾りお供え物を用意しましょう。
神棚の簡易的な掃除方法については、次の記事で紹介しますので、良かったらご閲覧ください。
※神棚封じを解く人は、親族や友人にお願いしても良いですし、ご自身やご家族の誰かで問題ありません。忌明けしていますので、穢れが神様に及ぶ心配がないからです。
神棚封じをしている期間は仏壇はどうする?封印するべき?
「神棚を封印するなら、仏壇も封印したほうが良い?」と思われるかもしれませんが、仏壇はそのままで、いつも通りお参りしても問題はありません。
神道とは違って、仏教では死を穢れとしてとらえていないからです。
むしろ故人の追悼供養になるため、積極的にお参りをすると良いと考えられています。
ただ、ご家庭によっても地域によっても違いはありますので、それぞれの作法に柔軟に従ってください。
神棚封じのよくある疑問6つのQ&A
①仏教徒でも神棚封じをするの?
家に神棚をお祀りしている場合は、仏教徒でも神棚封じを行います。神棚封じをする目的は「神様へ死の穢れが及ばないようにするため」ですから、仏教徒であろうとなかろうと、神棚があるなら封印する必要があるでしょう。
②神棚封じの期間中はお参りはしなくていいの?
神棚封じを行っている期間中は、お参りやお供えは一切行いません。
毎日のようにお参りしていると、「お休みしてもいいんだろうか?」「神様に失礼じゃない?」と不安に思われるかもしれませんが、神様を死の穢れから守るためにもそっとしておくようにします。
③神棚封じ中のお正月~正月飾りはどうする?
神棚封じ中に新年を迎える場合、正月飾りは控えるようにします。
正月飾りは、歳神様を迎え入れるためのもので、旧年を無事に過ごせたことへ感謝し、新年をお祝いするために飾られます。家族が亡くなったのに、旧年を無事に過ごせたとはいえません。
忌明けであれば飾っても問題はないという考えもありますが、基本的に「喪中」は飾らない方が良いでしょう。
④神棚封じ中のお正月~おせち料理は食べていい?
おせち料理には縁起の良い食材や料理が詰め込まれており、新年をお祝いしていただくものですので、基本的には避けたほうが良いでしょう。
特に、お祝いの席でお馴染みの「鯛」や紅白の「かまぼこ」など、おめでたい食べ物は避けてください。一方で、黒豆やだて巻など、縁起物でない食材や料理であれば食べても差し支えありません。
⑤神棚封じ中のお正月~お札の交換はどうしたらいい?
お札は年末の大掃除のタイミングで交換するのが一般的ですが、神棚封じの期間が重なるのであれば、お札の交換しなくて良いです。忌明けしてから神棚を掃除し、お札を交換しましょう。
お札の交換については、次の記事で詳しく解説しています。
⑥神棚封じ中のお正月~初詣に行っても良い?
神棚封じ中(=忌中)は、死の穢れ(氣枯れ)がある時期です。神社の神様も死のケガレを嫌います。神社へケガレを持ち込まないよう、忌明けまで初詣には行くべきではないでしょう。
まとめ~正しく神棚封じを実践しましょう
以上、神棚封じについて詳しく解説しました。
神道では「死=穢れ」と考えられ、死の穢れが神様に及ばないように神棚封じを行うということでした。
神棚封じを行う期間は、忌中(きちゅう)である50日間。その間は、神棚へのお参りやお世話を一切せずそっとしておくことが大切です。
毎日のように神棚のお参りとお世話をしている人にとっては、なんだか神様に申し訳ないような氣がするでしょうが、死の穢れから神様を守るためですから、「ついついお参りやお供えをしてしまった」なんてことがないよう注意しましょう。
記事で紹介した、具体的な手順や解き方、よくある質問などを参考に、正しく神棚封じをして神様をお守りいただけたら嬉しいです。ご参考になれば幸いです。
※神棚の正しい祀り方や作法について、次の記事でより詳しく解説しています。神棚に関するほとんどの疑問を解消できるでしょう。
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